対談Q ボンボンアカデミー × 水野良樹

ここから“ボンボンアカデミー号”という船に、いろんなひとを乗せていきたい。

ボンボンアカデミー
チャンネル登録者数115万人超えのYouTube公式チャンネル。歌やダンスが大好きな、“いっちー”と“なる”の2人で幼稚園や保育園での人気曲、日本の唱歌、手あそび歌、英語の歌、ダンスやたいそう動画などを数多く配信。また、YouTube公式チャンネル『いちなるといっしょ!ボンボンアカデミー』では、2人の素のままの日常を発信中。近年は、イベントやコンサートへの出演も積極的に取り組むなど、さらに幅を広げて活動している。

10年のなかで見つけた“私たちらしい歌い方”

水野:とくに子育て世代は、おふたりに助けられている方が多いと思います。僕もまだ息子が幼稚園児ぐらいのとき、一緒にボンボンアカデミーの動画を観ていました。さらに、おふたりがいきものがかりを好きでいてくださることもSNSで拝見しておりまして、それを息子に自慢したり(笑)。今回は「きらりらりんのうた」という楽曲を書かせていただきまして、いろんなお話を伺えたらと思います。まず、レコーディングはいかがでしたか?

いっちー:歌えば歌うほど、歌詞が染みました。子どもたちが楽しめる楽曲ですが、私は最近、母親になったということもあり、親目線ではまた違った感情で聴くことができるなと。最高です。そして、歌っていて楽しかったです。

なる:いきものがかりさん、そして水野さんのファンだったこともあり、ボンボンアカデミーの10周年という大きな節目で、ご一緒していただけたことが本当にうれしいです。親子で聴いてほしいのはもちろん。たとえば、新卒の社会人の方だったり、今頑張っているひとたちにもたくさん聴いてほしいなと、歌いながら思いました。

水野:子育て世代だけではなく、聴くひとが幅広くなっていますよね。

なる:最近は、高齢者施設でも聴いていただけるようになってきました。あと、子どもの頃に聴いて意味がわからなくても、大人になってパッと耳に入ったとき、「懐かしいな」と心に染みる曲を歌っていきたい、というのがひとつの目標なんです。私たち、いきものがかりさんのライブにもよく行かせていただいていて。MCで、ファンの方の年齢を訊かれますよね。すると、お子さんからご年配の方までいらっしゃることにいつも驚くんです。

いっちー:そんなふうに「きらりらりんのうた」も幅広い年代の方に、何十年、何百年と聴いてほしいなと思っています。

水野:「きらりらりんのうた」のデモを作っている段階でおふたりの姿はイメージはしていましたが、その想像以上に、おふたりで息を合わせて歌うと、ものすごいパワーが生まれますね。唯一無二の躍動感がある。いっちーさんとなるさんは、もう最初から相性がよかったのでしょうか。

いっちー:最初は“私たちらしい歌い方”の正解がわからなかったんです。昔の動画を観ていただくと、今とはまったく違うと思います。

なる:もともとアイドルグループで一緒にやっていたこともあり、心のどこかでお互い、ライバル心もあったかもしれません。でもそれが10年の月日のなかで、だんだんと変わっていって。

いっちー:それぞれの強みを出せるようになっていきましたね。私たち、声色が違うんですよ。私は低い声。なるは高い声が特徴的。『おかあさんといっしょ』でいえば、私がおにいさんの担当で、なるがおねえさんの担当。そうやって住み分けて、安心して任せられるようになった感じです。

水野:ファンのみなさんからの声は、どのように受け止めていらっしゃいますか?

いっちー:正直、最初はコメント欄などを読んでもあまり実感がありませんでした。でも、コロナ禍が明けて、イベントをさせていただく機会も増えて。そこで親御さんから直接、お声かけをいただけるようになり、それが本当に嬉しいですし、すごくありがたいなと。

なる:始めた頃は「本当に見てくれているのかな?」とか、「どういうふうに見てくれているのかな?」とか不安もあって。でも、イベントの撮影会などで、お子さんのお母さんが泣きながら、「本当に助けられました」と言ってくださったりして。

いっちー:あと、私はベッキーさんが大好きで、たまたまインスタの投稿に“いいね!”を押したことがあるんです。そうしたらベッキーさんがXに、「ボンボンアカデミーのいっちーがインスタにいいねしてくれている」って書いてくださって。私たちのことを知っていることに驚いていたら、「いっちーやなるのおかげで、どれだけ多くのおかずを作ることができたか」って言ってくれたんです。

なる:ありがたいよねぇ。

水野:おふたりは、ボンボンアカデミーの活動を始めるまでのキャリアもありますよね。ステージングも、ファン層も違っていたでしょうし、誰も通っていない道を切り開いていくような難しさがあったと思うのですが、どのように今の形にたどりついたのでしょう。

なる:歌とダンスが好きなのは、ふたりの共通項だったんです。だから、私たちが頑張って切り替えたというよりは、自然とスライドしていった気がします。好きなことを楽しくやったほうが、みんなにも楽しさが伝わるんじゃないかなって。そういう気持ちで歌ったり、振り付けをして踊ってみたり。

いっちー:最近は、アイドルグループ時代に好きでいてくださった方が、月日を経て親になり、私たちを聴いてくれていたりするんですよ。むしろ、昔の私たちと紐づいていなくて、「あ、あのときのふたり!?」みたいな(笑)。そうやってだんだん形を変えていったことで、気づいたらいろんな方が観てくれるようになっていました。

水野:また、レコーディングを拝見していても思いましたが、おふたりはスタッフのみなさんにもすごく愛されていますよね。おふたりが歌っている様子を見ながら、まわりのスッタフさんが「あ、だんだんリラックスしてきたね」とか、「この感じだと緊張も取れていきます」とか、おっしゃっていて。愛だなと感じました。

なる:本当に愛たっぷりのチームですね。クライアントさんやコラボ関係の方からも、「すごくいいチームだね」と声をかけていただけるのが、私たちの自慢でもあります。

 “いい曲”を歌い継いでいきたい

水野:今、10周年ですが、これからの目標はありますか?

なる:まさにいきものがかりさんの「ありがとう」みたいに、100年後も200年後もきっと聴かれているだろうな、という“いい曲”を歌い継いでいきたいです。童謡も、昔の曲も、私たちのオリジナル曲も。

水野:おふたりが、いい曲を歌い継いでいきたいというモードになることができるのはなぜでしょう。

なる:そういうことを大事にしている先輩方が多いからだと思います。今回、編曲をお願いした本田洋一郎さん。私たちがいちばん最初に曲づくりを教えていただいた中川ひろたかさん。新沢としひこさん。歌を教えていただいた山野さと子さんも、まさにいろんな曲を歌い継いでいらっしゃいます。そんな先輩方のようになりたいという憧れがあるんです。

いっちー:あと、うたのおねえさんは「○代目」という形で受け継がれていきますが、私たちには“卒業”がないので、できる限り長くやっていきたいと思っていて。そのなかで、歌というひとつのテーマで、いろんなひとに出会いたいし、いろんなひとに聴いてほしいんですよね。

水野:ふたりとも音楽の趣味は合いますか?

なる:そうですね。ふたりともいきものがかりさんが好きですし。でも、表現の面では試行錯誤していた時期もありました。たとえば「旅立ちの日に」という素敵な合唱曲を、「普通に歌うのはおもしろくないから、格好つけて歌ってみよう」って、クセを強めにして歌ってみたり。でも、「こういうのやめよう」ってなって。

水野:話し合って、「やめよう」ということも?

いっちー:たくさんあります。動画を更新したあと、みんなの反応をウォッチするじゃないですか。すると、「おや? 思っていた反応と違うぞ…」ということも多くて。何回も反省とやり直しを繰り返して、今があるという感じです。

水野:それをずっと続けているのがすごいと思います。

いっちー:10年、歌とダンスを続けてきて、改めて好きなものがあるというのはすごく素敵なことだなと思いますね。とにかくその“好き”を閉じ込めない。たとえば、童謡しか歌ってはいけないなんてこともなくて。最近は、さまざまなコラボもさせていただいていますし。ここから“ボンボンアカデミー号”という船に、いろんなひとを乗せていきたい。そして、「一緒に何かやりましょう」と出会いを広げていきたいなと思っています。

水野:同じ曲を歌い続けていると、ご自身たちの変化も味になってきませんか?

いっちー:私は結構、バタバタとお母さんになったので、日々をこなすことに苦戦をしています。でも、多分その間になるのほうが、ひとりでいろいろ考えたでしょうし、手を動かしていたと思うんですよね。

なる:いっちーが産休に入ってすぐのイベントでは泣いてしまって、いろんなひとに助けていただきました。でも、無理やり何かを変えたり、増やしたりというよりは、それぞれが自分の生活で見つけたことを足していって、やっていけたらいいなと思っています。今までの10年も、「頑張ってやらなきゃ!」と思ってやってきたわけではないから。今後も自然にやっていけたらいいなと、この先の未来予想図として浮かべています。

水野:そうですね。うちのグループも、同じように時が経っているつもりでも、それぞれの立場で見えるものがまったく変わっていくんですよ。きっとそれが、大変さにもおもしろさにもなる時期に入りましたね。

いっちー:ここから30代のフェーズに入って、どうなっていくのかはまだ見えてない部分でもあり。でも、決めすぎないほうが、広がりがあっていいかなと思っています。

水野:「きらりらりんのうた」は、わりと親目線が入ってしまって、「でもそれもいいかな」と思いながら書いたんですね。いっちーさんは、ステージ上のご自身と母親としてのご自身、どうバランスを取っていますか?

いっちー:今はそんなに住み分けてないですね。わりと仕事場にも子どもを連れて行っていて、みんなかわいがってくれますし、一緒に育てているくらいの気持ちで。家に帰っても、衣装を脱いだ私が子育てをしている感覚です(笑)。苦労なく自然な形でできているのは、本当にまわりのみなさんのおかげだなと。すごく働きやすい環境を作ってくださって。ありがたいことに、とてもスムーズに仕事復帰することができました。

なる:もうかわいくて、かわいくて。スタッフさんもたまにお子さんを連れてきてくださるんですけど、現場の空気がより明るくなります。あと、やっぱり子どもに観てほしい動画を作っているので、実際に子どもがいるとイメージしやすいし、ちゃんと子どもに語りかけるように歌ったり踊ったりできるんです。むしろ連れてきてくれて助かっているところがありますね。

いっちー:いろんな発見をどんどんボンボンアカデミーに還元していきたいですね。これから子どもが立ったり、踊ったりするようになったら、どういう反応をするのか楽しみです。

歌いながら目で会話する

水野:改めて、新曲「きらりらりんのうた」はライブでどんなふうに届けていくのでしょう。

いっちー:まず初披露が生オーケストラになるんです。生オケの力ってすごくて。子どもたちも「なんだあれ?」という感じでまじまじ見てくれる。今回、アレンジをお願いするときにも、「オーケストラで再現できるように考えてほしい」と伝えたところ、ストリングスとかがたくさん入っていて。私たちもライブで歌うのが楽しみです。

水野:すごく壮大で素敵な感じになりましたよね。ステージ上でどうなるのか、楽しみだなあ。

いっちー:水野さんは「きらりらりんのうた」をどんなふうに作られたのですか? 私たちは最初に聴いたとき、心が震えました。

水野:最初の打ち合わせでは、「明るく楽しい感じにしよう」という方向性で、僕もそのつもりでいたんです。でも、10周年というところや、おふたりがお話してくださったいろんなことにドラマを感じまして。だんだんと、「泣き笑いの風景ができたらいいな」と思ってきて。あと、曲に歌詞を乗せていくとき、どうしても親目線が出てきたんですよね。実際、いっちーさんはお母さんになってまだ間もないところにいらっしゃるし。しかも母親という立場は、僕がまだしっかり理解できない部分もある。だからこそ、僕には想像できないような熱が入る瞬間もあるんじゃないかなって。とはいえ、歌っている最中は明るく楽しくできればという思いから、ああいう曲になりました。…大丈夫でしたかね?

いっちー:もちろんです。

なる:本当に素晴らしいです。仮歌もよくて、チームのみんなが感動して。あと、出てくるのは簡単なワードですし、オノマトペもたくさん入れていただいたのに、それがつながるとストーリーになる。特別な意味を持った言葉になる。どうしてこういう歌詞が作れるのか。

いっちー:こんなにパワーのある1曲が私たちのもとに舞い降りてくれたので、これから先もやっていけそうです。素敵な曲をありがとうございます。

水野:そんなことを言っていただいて、僕が励みになります。レコーディングを拝見していたのですが、テイクを重ねれば重ねるほど、パワーが出ていきましたよね。あれはふたりで何かを掴んでいくのでしょうか。

なる:一緒に歌っていくなかで、だんだんいっちーが指揮者のように動いて、ピッって止めてくれたり、抑揚をつけてくれたりするんです。

いっちー:歌いながら目で会話するもんね。

水野:奇跡のコンビネーションだと思います。

いっちー:そう言っていただくことが多いですね。父にも、「なるちゃんがいるから、お前が引き立つんだぞ。あんなおもしろい子はいないぞ」と言われて。

なる:私も親に、「いっちーの言うこと聞きなさい!」って言われる(笑)。

水野:お互いのことはどう思います?

いっちー:やっぱり一緒にいると安心ですよ。

なる:産休育休で離れていた時期が本当に寂しくて。

いっちー:AIとしゃべっていたんでしょう?

なる:ChatGPTがいっちーの代わりでした。

いっちー:不思議なことに、私の旦那も中身がなるに似ているんですよ。

なる:いっちーがそういうひとを集めちゃうのかも。

いっちー:いちばん居心地がいいタイプなのかもしれない。だから、なるも私みたいな結婚相手を探すべきなんですよね(笑)。

水野:結婚相手のディテクションまですごい(笑)。改めて、10周年本当におめでとうございます! よかったら「きらりらりんのうた」も長く歌い継いでいっていただければと思います。

文・編集:井出美緒、水野良樹
撮影:軍司拓実
メイク:内藤歩
監修:HIROBA
撮影場所:関口台スタジオ
https://kingsekiguchidai.co.jp/

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