対談Q ダウ90000(前編)

8人とも「なんだ今の・・・感覚」が一緒なんだと思う。

蓮見さんはひとの気持ちをわかりすぎないでほしい。

水野:先日、舞台を拝見しまして。

ダウ90000 単独ライブ『20000』会場:ザ•スズナリ

一同:ありがとうございました!

水野:すごい、「ありがとうございました!」が8つやってくる(笑)。

ダウ90000 
2020年に旗揚げされた8人組。メンバーは蓮見翔、園田祥太、飯原僚也、上原佑太、道上珠妃、中島百依子、忽那文香、吉原怜那。蓮見翔が主宰、脚本・演出を担当している。ABCお笑いグランプリでは2022年、2023年と2年連続で決勝に進出したほか、「キングオブコント2023」「女性芸人No1決定戦 THE W2023」準決勝進出、「M-1グランプリ2023」で準々決勝進出するなど活躍の場を広げている。

水野:まず、自分がいきものがかりとは別でやっているHIROBAというものがあって。小説家の方とか、それこそ芸人さんとか、いろんな方に対談をお願いしたり、一緒に曲を作ったりしているんですね。そのなかに対談Qという企画があって、一緒にひとつのことを考えて、お話しできたらいいなと。今回はそこに初めて8人という最大人数でお越しいただきました。よろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします!

HIROBA 水野良樹

水野:一応、テーマを考えてきました。もちろんYouTubeもいろんな番組も観たんですけど、やっぱり舞台を生で観たのが衝撃的で。で、もうたくさん言われてきたと思うんですけど、“「仲が良い」って何?”と。

一同:(笑)。

水野:自分の体験談で言うと、小学校の同級生とグループを組んでずっとやっていたので、デビュー当時から、「きみたち仲が良いよね」って言われてきたんですよ。で、そう言われるたびになんかイラッとして(笑)。

一同:あ~。

水野:バンドメンバーって「仲が良い」という言葉だけじゃ落ちているものがあるというか。みなさんも舞台とか作っていて、「それだけじゃないだろ」と思う部分があるのかなと。さっきも「集合場所でメンバーにどれだけ声をかけるか問題」みたいなのをちょっと話したんですけど。そこらへんを一緒にお話できたらいいなと。ただ…まずどなたに振ればいいのか(笑)。やっぱり蓮見さんがリーダーって感じなのかな?

ダウ90000 蓮見翔

蓮見:一応そうですね。ネタを書いたりしているので、こういうときは僕が喋り出します。

水野:あのネタは当て書きなんですか? みなさんのキャラクターを自分の頭のなかに入れて書いている?

蓮見:はい。ただ、今回からは本番中にできるようになってほしいこともプラスで書いている部分があります。今まではクオリティー重視で、世に出るものとしてこちらが100%できてないものを見せるのはイヤだったんです。でもそんなこと言っていられないなと。個々がもうちょっと伸びていくものを作ったほうがいいし、みんなどんどん追いついていくので。もっと早くこうするべきだったかなと。でもベースは当て書きですね。

水野:もう完全に蓮見さんがコントロールしている感じに…(笑)。外から言うと、力関係みたいなものが後ろに見えたりするんですけど、他のメンバーはいかがですか?

吉原:まぁ脚本家とプレイヤーの関係ってわりとそういう感じなのかなって。もともとが演劇サークルなので、他の劇団の現場を見ていてもそう思います。

水野:自分に与えられた役は自分に合っていると思いますか? たとえば、こないだ舞台を拝見したとき、あの大御所俳優の役は園田さんにしかできないなって感じたんですよ。

ダウ90000 園田祥太

園田:僕は演技を勉強していたわけじゃないので、いきなり超クールな役をやってくださいと言われても、多分できなくて。蓮見はそういうところをわかってくれているから、ある程度やりやすいようにどの役も書いてくれていますね。

水野:でも今日、園田さんに会って、すごく落ち着いていると思ったんですよ。コントの園田さんと違うって。

園田:あ、本当ですか。緊張はしているんですけど…。

水野:いや、僕が緊張しています(笑)。毎回、僕が喋りはじめると堅苦しくなるから吉岡に怒られるんですよ。空気を重くさせるって。

蓮見:すごくわかります。結構、みんな真面目に喋るから。それが3人連続で続くとどんどん下がっていくじゃないですか。だから合間に忽那を挟むと、何を言っているかわからないので和むんです(笑)。

水野:忽那さんはそういう役割ですよね。

ダウ90000 忽那文香

忽那:そう、自分がもっとうまく喋れたらいいんですけど…。でも当て書きの話に戻ると、自己理解にも繋がりますね。蓮見さんが書いてくれたセリフを言ってウケたり、おもしろいって言ってもらえたりすると、「あ、自分ってこう見えているんだ」って新発見になるというか。

水野:蓮見さんに対する、「ここはこうしてほしい」みたいなのはありますか? 蓮見さんは常に全体を見ていて、いろんなインタビュー中にも必ず他のひとにツッコんでいく。その関係性ができているのがすごいなって。

園田:でも、ひとの気持ちをわかりすぎないでほしい(笑)。蓮見は学生の頃から、空気を読む天才なんですよ。だから、「あーもう、どうせすべて見透かされているんだろうな」って思って喋っちゃうときがある。

ダウ90000 中島百依子(左)吉原怜那(右)

吉原:それで言うと、生活のなかでの直してほしいことも。瞬時に人となりを理解するから、ちょっとクセのあるスタッフさんとかに出会うと、すぐ察知していちばん心のなかでおもしろがるんですよ。

蓮見:そうね、そう。

吉原:ただ、それをあとでおもしろがるならいいけど、本人がいるときにもうニコニコしていて。

蓮見:ちょっと失礼なひとっているじゃないですか。

水野:…すみませんでした(笑)。

蓮見:いやいやいや! 水野さんは一個もないです! 「ちょっとなめられているな」ってときが、俺らまだまだあるんですけど。

吉原:たしかに。

蓮見:そういうとき、他の7人もムッとはしているんですよ。

吉原:(笑)。

蓮見:そのムッとした空気から解放されないまま仕事したら全員ストレスだから、7人にだけ聞こえるように、「なんだ今の…」とか言うのがおもしろくなっちゃうんだよね。

中島:みんなで目を合わせて、バレない程度にね。

蓮見:7人とも底意地は悪いんですよ、絶対。俺についてくるってことは。

忽那:うん、そこがおもしろいと思って、ついて行っている(笑)。

吉原:本人に聞こえないかだけはヒヤヒヤはするけど。

蓮見:そこは俺、抜群にうまいから絶対に聞こえない。あと本当に失礼なひとは、自分のこと言われているって気づかないから大丈夫。

水野:取材あるあるをこんなに楽しく語っているのが仲良い(笑)。でもよくわかります。僕らも取材でたまに変なライターさんがいて。それを終わったあとに吉岡が全部モノマネするんですよ。

一同:(笑)。

水野:手元でめっちゃメモしながらも、それを一度も見ずに頷きながら喋るひととか。吉岡が完コピする。そうやって3人で大変なものを乗り越えていくような時期があったから、めちゃくちゃ共感できる。そこの感覚が一緒だとやっていけますよね。

蓮見:そう、8人とも「なんだ今の…」って感覚が一緒なんだと思うんですよね。

教えてもらったのはお笑いだけじゃなくて…。

水野:僕、コントを観たときに、それぞれの個性が活かされているなって素人ながらに思ったんですけど、同時にダウ90000ならではの雰囲気もあるんですよね。同一の空気感というか。大学の仲間でスタートしているから、いい意味で学生的な雰囲気も残しているし。どうやってこの空気感を出しているんだろう?って。

蓮見:多分、吉原以外のメンバーはお笑いに興味ない状態から、俺がおもしろいと思っているものしかやらせてないから。「これがおもしろいんだよ」って俺が教え続けた形になっちゃったのかなと思います。その結果、徐々に一緒になっちゃったというか。そこはラッキーでしたね。まだみんなが何かを強く思う前に台本を渡して。

水野:自我が芽生える前に(笑)。

中島:笑いに関しては本当にわからなかったので、「これを言ったらウケるの?」と思ってやったら、ウケた!っていうのが最初だった。

道上:お笑いのすべてが蓮見さんでした、私は。

蓮見:まったく見てこなかったもんね。

道上:だから、「このひとがお笑いだ」って思っていました。

ダウ90000 飯原僚也

飯原:教えてもらったのはお笑いだけじゃなくて。僕は地方から上京してきたんですけど、こっちでの初めての先輩が蓮見さんで、ひとり暮らしも初めてだったので、「ズボンって、1回履いたら洗わないといけないんですか?」とか訊いて。

一同:(笑)。

飯原:そうしたら蓮見さんが、「ズボンは1回で洗わなくていいよ。何回か履いてから洗えばいいよ」って。

水野:飯原さん素晴らしいですね! ここまでまったく喋ってなかったのに、今のひとことですべてのキャラクターがわかる。コントのなかでも、飯原さんがまだみんなが読んでないマンガをずっとひとりで読んでいるシーンあるじゃないですか。あれ、無言でいてキャラが出るってすごいなと思ったんです。

蓮見:多分オーラみたいなものがあるんですよ。90%のひとがこう思う、って顔を持って生まれた役者は絵にしやすいんだろうなと思っていて。僕とか上原は、半々の顔をしているんですよね。どの感情をイメージするかお客さんによって分かれる顔をしているから、結構セリフの読み方で変えないといけない。でも飯原は飄々としていて、シュッとしていて、マイペース、というイメージを全員パッと持つから。ああいう役が明転から板につく。

中島:はあ~!

水野:まったく僕と同じテンションで「はあ~!」って。

道上:私もあまり聞いたことがなかったので、そうなんだぁ!って。

中島:蓮見さん、こういうことみんなでいるとき言わないので。いつもインタビューとかで「へぇ!」って。

吉原:上原はね、全部のバイト先にいそうな顔って。

上原:よく言われるんですよ。

水野:上原さん今日、会場にやってきたときに帽子を被っていらっしゃって。こういうタイプの帽子を被るんだ!って。

一同:(笑)。

水野:意外だったんですよ! コントでは、冴えないサラリーマンっぽい役とか、地味なタイプで。でも帽子、結構イケイケだなぁって。

原:あれはNEW ERAさんの取材のときにもらった帽子の中の1つですよ!

中島:でも、佑太さんはこの柄が好きで、ウキウキで被るタイプなんだなぁ…っていうのは私も思いました。

蓮見:吉原が被ればいいのにと思ってた。

ダウ90000上原佑太

上原:あー、もう被れなくなっちゃった!

水野:もう今この瞬間がめっちゃ仲良い。こんなに他人に興味を持たないですもん。

一同:あぁ~。

水野:僕、本当にメンバーに興味なかった時代があったし。でも、他人が何を選んでいるとか、「どうしてあそこでサングラスするかね~」とか、言っていた時代のほうが仲良いんですよ。

蓮見:興味がなかった時期はいつ頃ですか? 

水野:売れてからです。売れていくときは興味あります。他に仲間がいないので。上に行くときって、ダウ90000の魅力に気づいたひとたちが、バーッと集まるじゃないですか。そういう時期って、実はメンバーしか仲間がいなくて。

蓮見:なるほど。

水野:戸惑ったり、不安だったり。どんどん成長していきたいけど、足元をすくわれちゃうんじゃないかみたいな気持ちがあったり。そういうときは仲間に興味があるんです。「お前、変わってないな?」って確認を普段の会話のなかでしちゃう。「グリーン車に乗ったよ!」とかね。でもだんだんグリーン車が当たり前になっていくから。そうすると良くないです。

道上:そうなんですねぇ。全員が飄々となっちゃうってことですよね。

中島:やだぁ。

吉原:でも、また興味を持ち出したみたいなことはあるんですか?

水野:あ、それはたしかにありますね。僕なんかはまた苦しい時期が来たので。忙しすぎて休めなかったりとか。あとはメンバーが結婚するとか、フェーズが変わると頼り合っていかないといけないから。一周まわったんですよ。でもダウ90000のみなさんは、まさに今からじゃないですか。

蓮見:何もまだ。始まったばかりですね。

やっぱりダウ90000に持って帰りたい。

水野:今、めっちゃおもしろいけど不安な時期なのかなって、傍から思っちゃうんですけど。

蓮見:そうだと思います。僕は1人の仕事が増えて、8人でテレビ出るよりも楽なんですよ。「話を振らなきゃ」とかないし、手ごたえも1人の仕事のほうがある(笑)。でも、普段8人でいるせいで1人のとき寂しいんですよ。始まる前に、「うわ、誰かいてくれればな」って思っちゃう。そういうとき、結局僕らは8人組として仕事をしているんだなって実感して、悔しくなりますね。

吉原:私もドラマの現場とか1人で行かせてもらうこともたまにあるんですけど、やっぱりアウェイな感じがしちゃう。俳優さんって基本みんなピンで活動しているから、その作品がホームみたいな感じだけど。8人組から1人で行くってなると勝手に心細くなっちゃう。

水野:どちらのほうがやりやすいですか? ダウ90000で出せてない自分もあるのか…。

園田:うーん、1人でドラマとかやったあとは常に、「今の俺を見て、みんなどう思うんだろう?」って思っちゃいます。やっぱりみんなといたほうが安心感はある。蓮見なんて、「違う違う違う」とかすぐ言ってくれるから。

蓮見:「恥ずかしいことすんなよ」って俺に言われちゃうんじゃないかと思うんでしょ(笑)。

水野:1人仕事のときに他のひとの目線まで意識しているって、相当仲良いと思いますよ。

蓮見:俺は見てほしいもん、1人の仕事。みんなあんまり見てくれない時期があって寂しかった。

水野:道上さんは、1人仕事とかにわりあい嫉妬するというか、寂しがるって何かで読んだのですが、今はいかがですか?

ダウ90000 道上珠妃

道上:今は本当にまっすぐ「おめでとう」と思えるようになりました。1人でいるときとみんなでいるとき、どっちが楽かみたいな話、私は1人のほうが楽。でもそこで、「1人だけ抜け駆けできた! やっほい!」っていうよりかは、やっぱりダウ90000に持って帰りたいなって。…なんか笑ってる!

園田:いや、蓮見さんが笑ってるから!

蓮見:「やっほい!」って言ったなと思って…(笑)。

道上:言葉が見つからなくて(笑)。ただ、やっぱり1人のほうがなんとなく楽です。未だにどうしても、「ここはこうじゃない?」って指摘されて、「ん…」ってなってしまう瞬間もあるので。自分で考えてのびのびやって、正解不正解はわからないけれど、自分だけに全責任が来るほうが思い知らされるというか。

水野:競争意識みたいなのはあるんですか?

園田:俺はないですね。

蓮見:男子はねぇ、まぁないですね。女子がすごくあるってわけじゃないですけど。

吉原:男子がとくにないかも。たしかに。もしも誰か1人が、ドラマ3本決まったとしたらどう思う?

園田:俺は、「やった!」と思いますよ。ダウ90000の名前がどんどん出るから。

中島:園田さんすごく観てくれるし、観たって報告してくれます。他のメンバーのやつも。

水野:みんなダウ90000に奉仕したいというか、貢献したいって気持ちが。

吉原:それはありますね。

ダウ90000 中島百依子

中島:当て書きしてくれているからって部分も大きいです。怜那ちゃんがドラマ決まったときも、私じゃ絶対できないし、怜那ちゃんだなって思うから。

蓮見:「この仕事、自分だったのに」ってならないってことか。

吉原:あー、たしかにね。

道上:来ているお仕事自体、当て書きの作品を観た上で。

蓮見:その延長線上のやつだからね。

中島:誰がどうっていうより、「じゃあ自分が仕事をもらうにはどうしたらいい?」となりますね。

飯原:俺のゴミ屋敷の掃除の仕事とか、羨ましくないでしょ。

中島:そうそうそう(笑)。どれだけ自慢されても何も思わない。

蓮見:僕はあのロケに呼ばれずに済んだので、頑張ってよかったなと思っています(笑)。

文・編集:井出美緒、水野良樹
撮影:西田香織
メイク:内藤歩 久木山千尋
監修:HIROBA
協力:ばぐちか

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